ホーム>筆まめでぃあ>拝見! レトロ年賀状コレクション>[第1回]レトロ楽しい明治期の年賀状に、百年先も残るようなアイデアが!? シェアツイート

拝見! レトロ年賀状コレクション

[第1回]
レトロ楽しい明治期の年賀状に、
百年先も残るようなアイデアが!?

このページのトップ画像で、貴重な木版の年賀状コレクションを手ににっこり微笑むその人こそ、知る人ぞ知る年賀状博士・高尾均さん。本連載では、その貴重なレトロ年賀状コレクションから、“これは!”というものを選りすぐってご紹介する。記念すべき第1回は、高尾さんのコレクションのなかでも最古級の年賀状を拝見! 百年を超えて伝わる年賀状のエッセンスを取り入れてみよう。

PROFILE

高尾均年賀マーケティングアドバイザー

1949年生まれ。京都にて長年、印刷業を営んだのち、国内トップの年賀状印刷メーカーに勤務するなど35年以上、年賀状ビジネスにかかわる。年賀状イノベーション研究会のメンバー。

シンプルに手書き文字だけの初期の年賀状がもはや新鮮

年賀状の文面といえば、パソコンで自作するなどして、写真やイラスト入りの“デザイン”をカラーで印刷しているという人が大半だろう。それでは、最初期の年賀状はどうだったかというと、ご覧のとおり毛筆でなにやら挨拶文がびっしり。これは、日本有数の年賀状コレクターである高尾さんが蒐集されたなかでも最古級のもので、優に百年を超え明治8(1875)年に発行されたもの。「単面の官製はがきとして最初のものなんです」(高尾)。カラフルな現代の年賀状を見慣れた目には、こういう“文字づくし”の年賀状はかえって新鮮に映るから不思議だ。

社会人になって数年、会うこともなくなってしまいしばらくは年賀状のやり取りだけになっているという友人へは、いっそ文字だけで、その一年にあったできごとを伝えるというのも一考かもしれない。手書きはさすがに大変だが、年賀状作成ソフトを活用すれば、新聞のようなレイアウトに仕立てることもできるので面白そうだ。

ともに日本で単面の官製はがきが導入された初年である明治8年のもの(差し出されたのは翌明治9年)。「百年を超える年賀状がこうやって残っている。私たちが出す年賀状も、もしかしたら後世に伝わるかもしれませんよ!」(高尾)

もっとも古い“絵入り”の年賀状は、意外や写真家のものだった!

毛筆で手書きされた年賀状から、明治15(1882)年になると、木版印刷された年賀状が登場してくる。当時は印刷となると一般人にはなかなか難しく、「こういった年賀状は商売人が得意先に出したものですね」(高尾)。文字とともに絵、つまりイラストがあしらわれるように。高尾さんのコレクションで絵入りでもっとも古い年賀状が、日本に写真技術を広めたことでも知られる、平成16年まで続いていた江崎写真館のものというのは意外というべきか、当たらずといえども遠からずというべきか。

ちなみに、年賀状に写真が入るようになるにはそれからさらに25年、明治40年ごろのこととなる。その中間となる明治30(1897)年ごろには、暦を印刷した年賀状も流行した。「このころにはまだカレンダーはなかったので、このような暦でおおよそ一年を知ることができたんです」(高尾)。これがまた、時計商が得意先に宛てたものというのが面白いところ。

のちには東京市議員にもなった写真家、政治家の江崎礼二氏の年賀状。「裃を着て扇を置いてと、当時はお正月にこうやって挨拶する慣わしがありました。後にこういうイラスト入り年賀が流行しました」(高尾)。右は、こちらも明治30年ごろに流行した暦入り年賀状。

こちらは年賀状作成ソフト『筆まめ』の最新版にて、デザイン編集機能「初笑い年賀状工房」で作った「新聞年賀状」の例。

次回は、大正時代から昭和初期のムーブメント、「年賀状交換会」なるものを中心に花開いた、センス満点の年賀状コレクションをお届け予定。お楽しみに。

文/クエストルーム

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